セイルクロス


セイルの素材となるセイルクロスはセイルシェイプを維持するのに重要な役割をはたします。どんなに良いセイルデザインをしてもクロスが伸びてしまえば型崩れしてしまいます。

セイルクロスの事を語るには昔にさかのぼってみる必要があります。それは1950年にさかのぼります。HOOD SAILMAKERS の創始者であるTed Hood は独自の方法でオリジナルHOODダクロンクロスの開発に成功しました。 それはコマーシャルセイルクロスのような織られたクロスをプラスチックコーティングで固める方法と異なり、ポリエステル繊維をより密に織る事でより伸びを少なくしたソフトなダクロンでした。 以後HOODではセイルメイカーにおいては唯一自社製のクロスを使うセイルメイカーとして発展してきました。1970年代にはケブラー・セイルクロスを、1980年代にはスペクトラ・セイルクロスを開発してきました。 そして1992年ベクトロン・セイルクロスを開発しました。

ベクトラン・セイルクロス


ベクトロン・セイルクロスはケブラー等マイラーフィルムをラミネートしたセイルクロスと異なり、オリジナルHOODダクロンの技術をそのまま生かして織られています。 それはポリエステルヤーンに伸びの少ないベクトランヤーンを混紡することで、現在最も多く使用されている長寿命のダクロンの延びをベクトランヤーンでおさえることができるからです。 ベクトランは伸びが非常に少なく、シバーや紫外線に非常に強い上、高温に非常に強い特性があるためクロスを織るプロセスで必要な熱処理に耐えることができるのです。

セイルクロスを選択する上で重要な事は、どんなに良い繊維でもマイラーフィルムをラミネートする事で寿命が短くなってしまう事です。 レーシングセイルとして優れたアラミドやカーボンでも一方向では非常に伸びが無くてもバイヤス方向はラミネートフィルムで抑えているため耐久性に限度があります。 言い換えればどんなに優れたヤーンでもラミネートフィルムを併用する限り寿命が短くなってしまうことです。

セイルの種類と選択 〜メイン・ヘッドセイル〜


グレード 素材
インショア・クルージング
USA製良質ダクロンを使用、クロスカット、もっともポピュラーで耐久性にすぐれています。

パネルレイアウト:クロスカット
オフショアR&C
USA製ハイテナシティー・ダクロンを使用。本ステッチシーム、ラジアルパッチ等を採用する等耐久性を重視したダクロンセイル。

パネルレイアウト:クロスカット、バイラジアルカット
ベクトランR&C
HOODが開発したベクトランを使用。オフショアR&C同様に耐久性を重視したベクトランセイル。クルージングセイラーにとって究極のセイルです。

パネルレイアウト:クロスカット
メンブレーン

ライトスキン
ラミネート


ケブラー/
フィルムラミネート


ストレスマップに沿ってアラミド繊維やカーボン繊維を配置してマイラーフィルムや*Lite Skinでラミネートした構成。上から下まで連続した繊維を配置し、力がかかるところは狭い間隔で、少ないところにいくにしたがって間隔を広げて配置。 繊維の配置は全て艇やセイルによってそれぞれ計算され、カスタムメイドにより軽量で伸びが少ないセールを製作。フィルムラミネートはシースルーなので風下が良く見えるのも見逃せないアドヴァンテージです。 クルージングセイルには更に薄いタフェタをラミネートするので耐久性が高くなります。

*LiteSkin®とは不織フィラメントとして開発されたシートでポリエステルフィルムの代わりにに使用されます。フィルムと違って耐久性があるのでクロスの耐久性も同時に持続します。

レーシングセールに使用されるヤーンの種類


PENTEX:通常のポリエステルヤーンの80%も高いパフォーマンスがあると言われるポリエステル系ヤーン。

ARAMID:ケブラー、テクノーラ、トワロン等アラミドヤーンをラミネート。レーシングセールでは古くから使われている。当初は紫外線に極端に弱かったが現在では加工が改良され、耐久性が増している。レーシングセールでは最もポピュラーな繊維。

CARBON:セイルクロスに使用されるヤーンでは最も伸びが少なく、UVにも強い。特に大型艇ではCARBONを使用したセイルクロスが適している。

セイルの種類と選択 〜スピン&非対称スピン〜


グレード 素材 パネルレイアウト
インショア・クルージング ナイロン トライラジアル・スピン
トライスター・スピン
レーシング ナイロン レーシングトライスター・スピン